提携メディアインタビュー「Dear ふくい」

Lisaでは、各地域の魅力を発信されているオンラインメディア様と連携をしております。各地域のオンラインメディア様は、実際に飲食店や観光スポットを取材され、美しい写真と素晴らしい文章で作成された記事は、その地域に住む人だけでなく、その地域を訪れる人にとっても魅力的な情報です。

ここでは、連携中のオンラインメディア様に対して実施したインタビューの内容を記載します。どんな思いでメディアを立ち上げられたのか、今後メディアをどうして行きたいか、などなど、どこにも載っていないオンラインメディア様の情報を余すところなく伺います。

今回は、福井県のメディア「Dear ふくい」です。「福井を楽しみたい女の子のために、福井県内の観光、グルメ、イベント等の情報を発信していく情報サイト」という事で、編集長の「江戸しおり」さんにインタビューを実施しました。女性ならではの視点で、福井県の魅力を発見し発信する彼女の、福井に対する強い思いや温かい人となりがわかる内容になっています。ぜひお読みください。

 

 

  • 江戸さん、今日は色々とお伺いしますのでよろしくお願いします!

よろしくお願いします!

  • まず初めに伺いたいのですが、今運営されているメディアの名前なんですが、なぜ「Dearふくい」という名前にしたんですか?

初めて聞かれました(笑)。私、ネーミングセンスなくって(笑)、悩んでたんですけど、ターゲットが女子高生だったので、口に出して可愛い「4文字程度」の言葉を探していたら、友達から「Dear」を勧められたんです。調べるとdearには「可愛い」という意味もあるし、福井の人のためのメディアとして最適だと感じたので「Dearふくい」になりました。

 

  • そういえば江戸さんは、福井の魅力を発信しているものの、実は福井県出身じゃないですよね?どちら出身なんですか?

私の出身は、千葉県の銚子市なんです。今は東京に住みながら、毎月東京と福井を行き来しています。

 

  • そんな福井出身ではない江戸さんが、どうして「Dearふくい」を始めるに至ったんでしょうか?

長い話ですが、全部お話します(笑)。
まず、銚子から東京に出てきたのは2010年です。当時お菓子作りが好きだったので、パティシエになりたいと思ってたんです。で、東京に行きたい専門学校をみつけて、実際その専門学校に入る事になったので、それを機に東京に出て来ました。

その専門学校には、フランスに上級校があって、専門学校を卒業してから実際に20歳の時フランスに行きました。もともと専門学校でも授業でフランス語を使っていたし、フランスに行く半年前から語学学校に通ってしっかり勉強してもいたので、言葉の問題はありませんでした。

結果、フランスの学校をトップの成績で卒業して、働きたいお店に就職する事ができたんです。その後別の店に転職をしてトータル2年ほど飲食業界にいました。そこで転機を迎えたんです。

 

  • まさかパティシエだったとは想像もしていませんでした! でもパティシエで順風満帆だったのにもかかわらず、何があったんですか?

パティシエの仕事は本当に楽しかったのですが、働きたいお店に入社したことで当初の夢が叶ってしまい、目標を失ってしまったんです。さらに激務ということも重なり、いろいろなことがあって1ヶ月休職することにしました。

休職をする事で心も体も元気になったのですが、結局元いた会社には戻りませんでした。「何かしたい」と思い始め、その答えが「書くこと」だったんです。もともと物を書くことは好きで、でもブログとかは気がむいた時に書いていたぐらい。ただ、幼少の頃は、作文が市内の文集に選ばれることも多かったので、得意な方だったと思います。ただそこまで意識はしていなかったです。

実は休職する2ヶ月前に、とある会社の経営者と出会ったんですが、その時に自分のビジョンとかを話したら、何か物を書くべきだと言われたんです。だから、多分その頃から心が動いてましたね。

 

で、結局どうすれば物を書くことでお金を稼げるかと調べていたら、クラウドソーシングのサービスをみつけたんで、早速登録しました。で、そこで好きなだけ記事を書いていると、開始2ヶ月くらいで契約ランキングで2位になって、速攻でプロライターになったんです。

そうすると信頼度も報酬単価もあがって、しかも依頼もめっちゃ来るようになったんです。ちなみに、同時並行で、電子書籍もちょっと書いたりしました。8冊同時並行で(笑)。それだけ物を書くことが好きだったんですね。

電子書籍「20代女子のための片付け術10選。ちょっと極端な整理整頓方法だけど片付きます。」
http://books.rakuten.co.jp/rk/8f83b705809737b7a679c9dd6436c3bd/

で、この経験を通じて、私は物を書いて食べていけるんだ、と実感しました。だた、この時も悩んだんです。これでいいのか?と(笑)。そんな時に出会ったのが「福井県鯖江市へのゆるい移住」プロジェクトでした。

 

  • そんな突出した物書きの能力があったのに、悩みます(笑)?しかも出会いが移住ですか。なんでそんな興味を持ったんですか?

なんでこのプロジェクトが気になったかというと、一つは単純にたまには東京以外の場所で生活したかったのと、もう一つはこのプロジェクトの制度が面白かったからです。普通、移住というと、お金を出すからその土地で起業しろとか住み付けとかいう条件があるのに、全く条件がなかったんですよね。とにかく福井に来て、半年間住んでみて、半年経ってやっぱりいやだったら帰っていいから、みたいな(笑)。

これだけ面白い制度のプロジェクトだから、絶対世間から注目されるだろうと思ったら案の定、プロジェクトの説明会にはたくさんのメディアの取材陣が来てたんですね。なので、私は「このプロジェクトに参加して、鯖江市のことを1日1記事ブログにしていこう!」と決めたんです。そこで生まれたのが「ゆるブロ」です。これは、一緒にプロジェクトに参加した方がwordpressで作ってくれました(笑)。

ゆるい移住ブログ ゆるブロ
http://yurui-iju.net/

で、鯖江に移住してからブログを書きまくっていたら、市内でも話題になりました。市長も見てくれてたし、facebookでシェアもしてくれました(笑)。それだけじゃなく、移住中に参加することになった一般社団法人ゆるパブリックの、福井新聞のオンライン版に掲載するコラムの連載に参加することになり、Yahoo!ニュースにも取り上げられたりしました。

福井新聞連載コラム「ゆるパブ」
http://www.fukuishimbun.co.jp/category/yurupublic

移住を開始してから半年経って、プロジェクトメンバーの一部は定住することになったりしましたが、私は定住するつもりはありませんでした。でも、「ゆるパブコラム」は書くことは決めていたので、東京に帰ってからも月に一度福井に通ってました。

 

  • そうなんですね、その時点で既に福井の情報を発信していたんですね。しかも毎日(笑)!でも移住が終わってからも福井に月一で行くというのは、やっぱり福井のことが好きになったんですね。東京に帰って来てからはどんな状況だったんですか?

 

東京に帰って来ても「ゆるパブコラム」を書いていましたが、よくよく考えたら「ゆるブロ」に当時書いていた福井の観光情報を持て余していることに気づいたんです。もっとちゃんとまとめて紹介することで、いろんなひとに伝わるのではないか、と。

実は、当時「ネイバーまとめ」を作るのにはまっていまして(笑)、一回試しに鯖江市のまとめを作ったら、一週間で2万PVとか行ったんです。なので、引き続き鯖江には毎月行ってましたし、その情報も書けばいいなと思って、それで2016年9月に「Dearふくい」を開始しました。自分でやるならタダだし(笑)。

日本一幸福な福井県!人口が増え続ける鯖江市のすごすぎる魅力とは!?
https://matome.naver.jp/odai/2146535261582411101

 

  • 素晴らしい経緯ですね!では開始して約1年経ちましたが、いま「Dearふくい」はどんな感じのメディアになっていますか?例えば読者の方ってどんな方なんですか?

男女比は半々ですね、年齢でいうと最近20〜30代が増えてきてます。福井県からのアクセスが圧倒的ですね。でも大阪、京都など関西の人にも見てもらっています。こないだジビエ料理の記事をあげたんですが、それを京都の人が見てくださっていて、実際にその店にいらしたんですよ!

後は、中国語への対応もしてます。とある中国人を対象としたメディアがあり、そのメディアの方にDearふくいの記事を翻訳してもらっていまして、なので中国人の方にも見てもらっているはずです。記事コンテンツを厳選して、メジャーなところ、例えば東尋坊とか鯖江市メガネミュージアムとか、分かりやすい場所の記事を月に2,3翻訳して、このメディアに掲載してもらっています。

 

  • 中国ですか!実際中国人も金沢とかに来てますからね。あともう一足という感じですね。では、江戸さんの中で、「Dearふくい」の運営方針ってどんなものを考えていますか?例えば記事の作成方法とか。

取材ありきで行くわけではなく、例えばご飯を食べに行って、よかったらその店舗に許可をもらって記事を書く、というスタンスです。もちろん手当たり次第で行くわけではなく、福井にも美味しいものが好きな人もいらっしゃって、その人とかから情報を聞いてます。ネットで調べたりはしません。

あくまで私が直感でどう感じたかを大事にしています。先入観を入れない様に心がけていますね。

 

  • 直感、めちゃくちゃ大事ですよね!ではDearふくいで今後やってみたい事、企画とかがあれば教えてください。

仕事柄、市長や議員さんとお会いすることも多いんです。普通は政治家って遠い存在って感じがするじゃないですか。でも、会ってみるといい意味で普通なんですよね。それをいろんな人に知ってもらって、政治を、つまり自分たちのまちをもっと身近に感じてもらいたいなって思っています。

なのでたとえば、市長の人となりとか、おすすめグルメとか、市長が撮った写真を載せるとか、市内の人気スポットで一緒に遊んでみるとか、そういう特集をやる予定です。ほぼやることが決定している市もあります。一つ成功したら、福井県の他の市でもやりたいです!

 

  • 絶対それ面白いですよね!そんなメディア見たことないので楽しみです!では、江戸さんから見た福井ってどんなところですか?行く前と行った後でのイメージの変化はありました?

正直、福井に行く前は、福井について何も知らなかったです(笑)。鯖江市のゆるい移住も、鯖江市ってどこか知りませんでしたから(笑)。たまたまそのプロジェクトで福井に来たということなんです。東尋坊とか、名前は知ってましたけど、福井県にあるとは知らなかったですし。

で、福井移住を経験したあとのイメージは、「なんでもできる街」です。とにかく(いろんなことを試せる)余白が多い。東京なんかより全然いいです。人の気質的は、すごく奥ゆかしい人が多い印象です。あまり前にでる人がいないというか。でも社長輩出率No.1(サイバーエージェント、スペースシャワーTV、フランフランなどの社長は福井出身)なんですけどね。

福井の人たちって、自分たちの良さを伝えるのは苦手なんですが、でも心の中では福井を強く愛しているんです。だから、福井で何かしたい、と相談すれば親身になってくれます。しかも同世代が後押ししてくれたりするんです。「Dearふくい」を開始する時も、ゆるい移住プロジェクトのメンバーだけでなく、地元の人までもが応援してくれました。

 

  • Dearふくいがそんな福井の人たちの代弁者である訳ですね。では「Dearふくい」で普段いろんな福井の魅力を掘り起こしていると思いますが、その中でも「絶対にいくべき、おすすめスポット」はありますか?

 

めちゃくちゃあります、ていうか、そんなのばっかりです!
例えば、「一乗谷朝倉氏遺跡」。日本のポンペイと言われている、歴史学上とても重要な遺跡です。昔、福井で勢力を誇っていた朝倉一族というのがいたのですが、住んでいる屋敷が織田信長に焼き払われて全部なくなってしまったんです。そのあと、なぜかその上に田んぼとかつくられて存在がなくなってしまい、昭和三十年代にやっと発掘されたんです。

京都の金閣寺、広島の厳島神社と同じ、国の三重指定(特別史跡・特別名勝・重要文化財)を受ける大変貴重な遺跡なのに、全然知られてない。でも実はソフトバンクのCMにもつかわれた場所で、皆さんも目にしたことはあるんですよ。

一乗谷朝倉氏遺跡は日本のポンペイ!?隠れた魅力と見所を徹底解説!【福井市】
https://dearfukui.jp/sightseeing/1730

 

ソフトバンク 連続CM小説「一乗谷にて。」〜白戸家の故郷の夏〜
https://www.youtube.com/watch?v=-OhqdGXpikc

もう一つは勝山市にある「白山平泉寺」です。
ここは最近徐々に人気が出てきている「苔寺」で、JRも東日本と西日本が、広告で使ってるほどの場所です。今年で開山1300年を迎えたことを機に注目を浴びて、どんどん人気が高まって来ています。私も取材に行って、感動してめちゃくちゃ長文の記事を書きました(6ページ)。

開山1300年!平泉寺の楽しみ方とは?歴史・見所スポット25選 徹底解説【勝山市】
https://dearfukui.jp/sightseeing/5567

 

  • 福井は歴史上重要な場所なんですね。ソフトバンクのCMのあの場所がまさか福井だとは知りませんでした。平泉寺、見所が25もある(笑)!それだけ感動したんですね。それでは、これからの「Dearふくい」について教えてください。どんな風にしてこのメディアを成長させていきたいですか?

まずは福井の地元あるいは近隣県の女子高生とかが、スマホで雑誌感覚で読めるようなメディアにしていきたいと思っています。

あとは、新しいチャレンジとしては、Eコマースも考えています。鯖江に限って言えば、鯖江市に河和田地区というところがあるんですが、ここって、1500年前から越前漆器の産地で、漆器屋さんかメガネ屋さんしかないところなんです。しかも人口が4000人くらい。

で実はこの場所に、若いデザイナーの人が移住しているんです。なんでそこに住んでいるかというと、その地区の地元の産業を使って、クリエイティブなものづくりをしているんですね。で、「RENEW」という、工房とかを見学する毎年やっているイベントに、県内外からめちゃくちゃ人が集まるんです。

今年もRENEWの季節がやってきた!鯖江市河和田で作り手たちとつながる2日間
https://dearfukui.jp/gourmet/318

 

なので、こういった素晴らしいものを、作られた背景とか誰が作ったのかをインタビューして記事にして、記事と連動させてオンラインで販売したいと思っています。ものづくりって、ストーリーがあるものが多いのでそれも含めて知ってほしいんです。例えばTSUGIという、デザイン事務所が鯖江にあるんですが、先日この事務所が作っている弁当箱「Bento_to」がガイアの夜明けで特集されたんです。

TSUGI
http://tsugilab.com/

で、このデザイン事務所は、他にもものづくりをしていて、例えばピアスなどのアクセサリーを作っています。このアクセサリー、実はメガネの製造の過程で出た端材で作っているんです。しかもめちゃくちゃ可愛い。

こんな感じで、ものづくりの背景を知れば、商品の魅力は絶対増すと思います。同じく鯖江市で作られている、土に帰る植木鉢「Timber Pot」とかも最高にハイセンスですよね。

土に帰る植木鉢「Timber Pot」
http://rokurosha.jp/collection/timberpot.html

 

  • 素晴らしい商品ばかりですね!Eコマース期待しています!それでは最後に、今回Lisaと連携をさせて頂く事になりました。今後スマートガイドアプリLisaに期待するのはどういうところでしょうか?

位置情報を使ったガイドアプリという事で、プッシュ通知に期待しています。福井についたら、福井の観光情報がプッシュ通知で配信されるとめちゃくちゃ便利だと思います。

行政と連携して、福井県の観光活性化ツールとして使いたいと思っています。ある程度スポット情報が溜まってきたら、県とか市ごとの観光ルートがLisa上で表現されれば本当に便利だと思います!是非やりたいです!

 

  • まさにその通りだと思います。是非実現させて、福井の観光産業をIT技術で共に盛り上げましょう!ありがとうございました!

Dear ふくい 編集長 江戸しおり(25)
千葉県出身 東京都在住
2015年7月にパティシエからフリーランスライターに転身。2015年10月より福井県鯖江市の体験移住事業「ゆるい移住」に参加。2015年1月より福井新聞オンラインのゆるパブコラム連載の執筆に参加中。2016年9月にDearふくいを開設。現在はKUNO1(クノワン)という地方創生や地域の魅力を発信することを1テーマとした和ロック音楽ユニットで音楽活動も行っている。https://edoshiori.com/